2008/08/17

アンゴスツーラ

しばらく走ると、おそろしさで真っ青になっているスノークとであいました。スノークは、大声をあげました。
「 妹が、たいへんな植物に、たべられそうなんだ。 」
そのとおりでした。

虫をたべるおそろしいアンゴスツーラの一種が、スノークのおじょうさんのしっぽをつかまえて、生きてうごく手で、ゆっくりとたぐりよせているところでした。いうまでもなく、彼女はおそろしさのあまり、むらさき色にかわって、死にものぐるいでわめいていました。 スノークの女の子にも、こんな声が出せるのかと思われるくらいに。

「 すぐいくよ、すぐいくよ! 」
と、ムーミントロールはさけびました。
「 これをもっていけよ、きっと役だつから。そしてな、あいつをおこらせるんだ。 」
こういってスナフキンが、ナイフをわたしました。せんぬきとねじまわしのついたナイフでした。

「 やい、この炊事ブラシめ。 」
ムーミントロールがどなりましたが、アンゴスツーラは、平気の平左でした。
「 ひょっとこやろう、おいぼれねずみ。おまえは、死んだぶたのひるねのゆめみたいなやつだな。 」
するとアンゴスツーラは、みどり色の目をぜんぶムーミントロールのほうへむけて、スノークのおじょうさんをはなしました。
「 しらみのさなぎめ。 」
そうさけぶと同時に、ムーミントロールは目にもとまらぬ早わざで、アンゴスツーラの手を切りおとしました。
ムーミントロールは、しっぽをいさましくふりたてて、ときどきアンゴスツーラに切りかかっては、つぎからつぎへと、にくまれ口をあびせかけました。
「 すごいなあ! あんなにたくさん、悪口をいえるなんて。 」
と、スニフは感心してさけびました。