スノークのおじょうさんが、大きな石をつかんで、アンゴスツーラになげつけました。ところが、なげかたがへただったので、ムーミントロールのおなかへ、ぶつけてしまったのです。
「 あらっ、たいへん。わたし、あの人をころしてしまったわ。 」
と、おじょうさんは、ひめいをあげました。
「 女の子って、そんなものさ。 」
と、スニフはいいました。
だけど、ムーミントロールはいっそう元気づいて、とうとう、アンゴスツーラを切り株だけにしてしまったのです。それから、ナイフをおりたたんで、いいました。
「 これでよしと。一巻のおわり。 」
「 まあ、あなたはほんとにつよいのねえ。 」
スノークのおじょうさんがささやきました。
「 なに、これぐらいのことは毎日やってるよ。 」
ムーミントロールは、こともなげにいいました。
「 ぼくがまもってあげる。さあ、いいものをあげますよ。 」
こういってムーミントロールは、金の足輪をさしだしたのでした。
「 まあ。 」
スノークのおじょうさんはあんまりよろこんだので、からだがすっかり黄色くなりました。
「 わたし、これをさがしまわってたのよ。ほんとに、うれしいわ。 」
彼女は、すぐにそれをつけると、からだをくねらせたり、頭をまわしたりして、自分がとれぐらいすてきになったかを見ようとしました。
ムーミントロールは、スノークのおじょうさんの前髪を、じっと見ていました。ムーミンママには、前髪がありません。だから、前髪というものを、まだ見たことがなかったのです。
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